西行は平安時代から鎌倉時代にかけての名僧です。「千載集」や「新古今集」などに優れた歌を残した歌人としても知られています。西行は、出家する朝は朝廷の警護する佐藤則清という名の武士でした。そして平清盛と、同じ釜の飯を食い、「お前」「貴様」と呼び合うほどの中でした。ところが、清盛が出家して西行となり、諸国を放浪している間に、清盛は出世して、大政大臣まで上り詰めます。しかし、政治の実権を握るようになると、平家はおごり高ぶるようになり、評判はあまりよくありませんでした。そのことを旅から戻った西行が清盛に忠告すると、清盛はこう言い返しました。「お前は俺に嫉妬しているのだ。武士を捨てたことに後悔しているのだ。」西行は何も反論しなかったといいますが、その後平家は滅亡してしまいました。人間、誰だって人から小言を言われたり、耳の痛くなるような忠告をされると、反発を感じるものです。でも、仲のいい相手は真剣に相手のことを思っていてくれている場合が多いのです。小言を言ったり、耳の痛くなる忠告をしてくれるのは、それだけ相手のことを気にかけている証拠、心配している証拠ともいえます。そういう人の言葉に反発したりしていては、人が離れて行ってしまいます。