意識が高まったのは「今年だけ」というのでは何の意味もありません。「5年後も10年後も管理組合の意識が高い状態を継続する」という仕組みを考えることが大切です。意識の高い状態を継続できずに痛い目に遭ってしまったこんな事例があります。そこは築7~8年目に私のセミナーを受けていたマンションの理事さんたちで、管理会社と散々交渉し、管理委託費の大幅な削減に成功。管理組合の意識もとても向上したところでした。しかし、築12年目になって、当時の理事は一人も残っておらず、管理会社主導でやりたい放題の大規模修繕工事が上程され、当時の理事は反対したものの、2分の1の過半数に達し、多額の修繕積立金はむしり取られてしまいました。折角向上した管理組合の意識が低下し、見事に管理会社に付け込まれてしまったのです。ホワイトマンションになりかけたにもかかわらず、理事の引継ぎがなされなかったため、ブラックマンションに戻ってしまったのです。バカ高い工事費の見積もりが記載された総会議案書が配布され、それを見た当時の理事さんが「なんでこんなことになっているんだ」と慌てて立ち上がったのですが、時すでに遅しで、議案は総会で可決され、管理会社に軍配が上がってしまいました。散々苦労してコスト削減に成功したのに、その分を高い工事費で取り返されてしまったわけです。管理組合の意識が高いままならば避けられた事態でした。