現在、マンション大規模修繕工事における発注方法としては、管理会社に「設計」と「施工」をまとめて発注する責任施工方式か、「設計」と「施工」を別々に発注する設計監理方式に二分されます。私の経験上の感覚では7割方が設計監理方式だと思っていますが、その大半は談合とリベートを目的として、業者の選定が行われているのが実態です。マンション大規模修繕工事は5000億円を超える市場規模に成長しているので、そこには設計事務所も沢山参入してきています。設計事務所は設計監理方式における「設計」の部分を担当しますが、「設計監理料が安くて大変だ」と嘆いている経営者が圧倒的です。しかし、そもそも設計監理料を安く、設定しているのはほかでもない設計事務所です。中には、「設計監理料をどれだけ安くしてもいいから、まずは仕事をとってこい」とはっぱをかけている経営者もいるほどです。安い見積もりを作っておいて、受注に積極的になるのはなぜでしょうか。発注者である管理組合側からしてみれば、設計監理料が安いことは魅力ですので、安い見積もりを出してきた設計事務所に発注することになります。しかし、設計監理料が安い、裏にはからくりが存在します。そこには設計事務所と工事会社との間に談合とリベートがはびこっているという実情があるのです。