実際に工事の設計をしてみると、計画段階では予想できなかった内容が組み込まれてくることも多いもの。そのため、長期修繕計画の見直しを行っていなかったり、見直しの際、資金計画にゆとりが無かったりすると、工事の準備・計画段階に入ってから資金不足が明らかになることがあります。建物や設備の劣化の程度にもよりますが、費用が足りないからと修繕工事を先延ばしにすると、建物の痛みは加速度的に進むため、かえって工事費用がかさんでしまうことがあります。劣化診断を委託した専門家とも相談したうえで、資金計画を見直してでも工事をしておくべきか判断しましょう。工事の前に資金不足がわかった場合、対応策は大きく分けて2つあります。一つ目が区分所有者から一時金を集める方法。借り入れに比べて、返済時の利息が不要などのメリットはありますが、区分所有者の理解を得るのが難しいことも少なくありません。負担額にもよりますが、急な出費に対応できない区分所有者がいることも考えられます。2つめが、公的機関や金融機関から不足分を借り入れる方法。区分所有者が急な出費をしなくて済む半面、返済のために修繕積立金の増額などが、必要になります。どちらの方法をとる場合も、総会での決議が必要。工事の必要性や費用の内訳などを具体的に説明し、協力を求めましょう。