大規模修繕工事を延長したら、いざ工事を実施するという場合に「余計にお金がかかるんじゃないか?」とか、12年周期を18年周期にした場合、工事実施時に工事費が5割増しとか、倍増になってしまったりするのではないか?」という不安が出てくるかもしれません。しかし、社会情勢は別として、そんなことにはなりませんので安心してください。例えば、ペンキの塗り替えや防水のやり直しなどは、新築マンションでも、築18年のマンションでも、m2あたりの単価は全く一緒です。クリーニング店に、家で洗ってきたワイシャツを出すのと、1年間全く洗濯をしていないワイシャツを出すのと、値段が変わらないのと同じなのです。もちろん、ひび割れの長さや、浮いてしまっているタイルの数など、経年劣化の度合いは進んでいますので、そういうところの維持費用は増えますが、それでも全体のコストとしては数パーセントから1割増しくらいのものです。つまり、大規模修繕工事を3年や5年延長したとしても、工事費が倍増することはないということです。そのように延長措置を施せば、マンションの財政にも影響が出てくるわけですが、そうした影響も考えず、やたらに大規模修繕工事の提案をしてくる管理会社や設計事務所には注意しましょう。大半のマンションで長期修繕計画表が破綻していることを知っていながら、管理組合の財政を全く気にすることなく、工事を進めてくるなど持ってのほかです。反対に管理組合のことを考えて、パッチワークなどの処置を講じながら、大規模修繕工事の延長を提案してくる業者は良心的なところだということを心得ておきましょう。