管理会社は大体築10年か、前回の大規模修繕工事から10年を超える前後から、大規模修繕工事の必要性や緊急性をアピールし始めます。私は管理会社業界の裏話も伝わってくるのですが、管理会社によっては、大規模修繕工事を受注するとボーナスが出るという仕組みになっていたり、管理対象のマンションから10年目の物件をピックアップして、大規模修繕工事の受注に向けた会議を繰り返したりするそうです。どうして管理会社がそんなに大規模修繕工事に執着するかと言えば、大事な収入源であるからにほかなりません。管理会社の大きな収入源は、マンションからの管理委託費用と修繕工事の2本柱になっています。企業にとって収益を最大化することは非常に大事なことですが、管理委託費は固定費なので、売り上げや利益を伸ばすには、管理物件を増やすしかありません。一方修繕費用については、フロント担当者にボーナス増加などの動機付けを与えれば、本人は熱心に大規模修繕工事だけでなく、小規模や中規模の工事の受注に取り組みますし、管理組合という、いわば素人相手ですから、思いどうりの提案をしても簡単に工事の受注まで進めることができ、売り上げや利益を伸ばすことができるわけです。こうした発想は、管理会社に限らず、世の中にある多くの設計事務所や工事会社も同様です。