1戸当たりの専有面積がよほど大きくない限りは、工事費は1戸当たり100万円程度でいいでしょう。それが、1戸当たり150万を超えているような場合は、工事費の設定が高すぎると見た方がいいと思います。大規模修繕工事の実施時期までに、この金額になるように修繕積立金を積み立てていくわけです。ところで、管理会社は当然ながら修繕積立金の残高がいくらあるかということを知っています。そして、いざ大規模修繕工事の実施時期になり、工事の発注時点で管理組合の役員等がいわゆる「思いどうりにできる役員」たちで構成されている場合、管理会社のいいようにコントロールされてしまいます。その結果もともと割り増しぎみの概算である工事費にもかかわらず、その予定額通りに発注されてしまうというケースがよく見られます。不思議なことに、管理会社が出してくる大規模修繕工事の見積額が、なぜかマンションの修繕積立金の残高にピッタリ合っている、というようなことが少なくないのです。管理会社にそのことを問いただしてみても,「そんなことはありません」という答えが返ってくるだけですが、そのことに気づいた今から、是非それを防ぐ仕組みづくりをしていきましょう。ただ、具体的にどのような仕組みを作っていけばよいかという点については、そのマンションが今どういう状況にあって、あと何年後に大規模修繕工事を控えているかなど、諸条件によって変わってきますので、個別に相談する必要があります。