ところで個人情報の保護が叫ばれている昨今では、この組合員名簿の取り扱いが問題になることも少なくありません。例えば、理事長が「組合員名簿を見せてください」と管理会社にお願いすると、「個人情報なので開示できません」などと言う答えが返ってくることもあります。大企業が個人情報を漏洩して大きな社会問題になるなど、確かに個人情報はナイーブな問題ですが、それと組合員名簿は少し状況が違います。まず、管理組合が組合員名簿を作成する行為が、プライバシーの侵害になったり、個人情報保護法に抵触するということはありません。又マンション標準管理規約64条には、理事長の義務と権限として、組合員名簿を作成し、保管することを定めています。当然閲覧の権限もありますので、管理会社は理事長から組合員名簿の提出を求められた場合、これを拒むことはできないのです。もちろん理事長だからと言って無制限に閲覧できてしまうのも問題ですので、マンション標準管理規約とは別に、管理組合独自に規約を定めることも可能です。利用目的をはっきりさせ、必要な部分だけ管理会社に開示を求めるようにすればいいでしょう。重要なのは、組合員名簿の情報が適切に更新されていることです。個人情報の流出を防ぐ厳格なルールを定めながら、適時最新の情報が掲載されている状態にしておく必要があります。