管理会社はどこも例外なく、「収入を増やす」提案しか持ってきません。つまり、修繕積立金の値上げや一時金の徴収です。考えてみれば、管理会社の社員はサラリーマンであり、「収入を減らす」という提案を持っていくということは、会社の利益を減らすことになるので、サラリーマンとしては失格でしょう。ここできちんと理解しておきたいのは、管理会社とユーザーである管理組合とでは、「利益相反」の関係にある、という点です。利益相反とは、簡単に言えば、「どちらかが儲かれば、どちらかが損をする」という構図のことです。従って、利益相反の関係にある中で、管理組合が管理会社に対して、支出を減らすという提案を持ってくるのを望むのは、到底無理なのです。ところが、日本人の特性として、「それでも、何らかの利益になることを提案してくれるはずだ」というように、淡い期待を抱いている場合も少なくありません。けれど、やはり新築販売される当初に金額を定めるマンションデベロッパーの中で、管理組合の積立金会計が将来的に不足しないように逆算して、適正な修繕積立金の金額を設定する、そんな顧客の最優先に考える会社は、残念ながら見たことがありません。