富豪の家で盛大な法要が営まれ、一休は主賓として招かれました。一休は普段からみすぼらしい格好をしており、この時もいつもの質素な袈裟を着て、訪れました。すると、家の者から「乞食坊主が何しに来た、汚らしい奴め」と追い返されてしまいました。そこで、上等な袈裟に着替えて、再度向いたところ、今度は「ようこそ、いらっしゃいました」と歓迎してくれました。やがて法要が終わり、食事になったのですが、一休は横に袈裟を置いたまま、箸をつけようとしません。富豪が「なぜですか?」と尋ねると、一休はこう返答しました。「私がこの家に迎えられたのは、豪華なこの袈裟を着ているからです。それなら、この袈裟にご馳走をさせればよいでしょう。」人を見かけで判断する富豪たちに嫌味を口にすることで、反省を促したのです。この話は現代人にとっても大いに参考になります。人を学歴や役職や収入といった条件だけで判断しない。自分の欲得だけで付き合おうとしない。もちろん参考にするだけならばいいのです。しかし、それだけで判断するのはよくないのです。大切なのは、誰に対しても分け隔てなく付き合う気持ちを持つことです。