理系のエンジニアのすべてが渉外能力に劣るというわけではありませんが、新築畑のゼネコンにはそういうことが得意だという人材は比較的少ないのが現実です。つまり、同じ建設業でも、ゼネコンが手掛けるマンションの新築工事と、塗装と防水が中心の大規模修繕工事都では、まったく別業種だと考えるべきなのです。内科と皮膚科を比べるようなもので、医師という職業は同じでも、その内容は科によって全く違います。一人で内科と皮膚科と眼科と整形外科を診てという、オールマイティーな医師がいないように、建設業界でも、マンション新築工事に加えて、大規模修繕工事における、住民対応までそつなくこなせるような担当者は見当たりません。したがって、ゼネコンが大規模修繕工事を受注したとしても、実際には改修業者に一括で仕事を丸投げします。どちらにしても、中間マージンを抜いて、改修業者に丸投げするのです。しかし、丸投げされた下請け業者は、元請けであるゼネコンのユニホームを着て、現場ではゼネコンの社員を装いながら作業をしているケースがほとんどですので、おもてだってはわかりません。