大規模修繕工事を元請け会社として請け負ってくれる業者は、大きく分けて次の3つがあります。①管理会社 ②ゼネコン ③改修専業者 この中で、管理組合にとってなじみがないのが、③の改修専業者でしょう。改修専業者とは、もともと②のゼネコンの下請けだった塗装工事会社や防水工事会社が、大規模修繕工事の施工業者として、管理組合から元請け受注を始めた会社のことを指します。一般的に、建設業界というのは建築士が集まっているエンジニアリングの集団です。特にゼネコンはその度合いが強いといえます。昭和の高度経済成長期時代には、日本の理系の花形職業といえば建設業でした。日本の建設は技術の「かたまり」のような存在で、世界的にも巨大地震に耐えられる建造物を構築しているのは、唯一日本だけといっても過言ではありません。しかし、マンション大規模修繕工事を見ていると、その工事内容は塗装と防水が中心です。そうした技術は、一定のスキルのある人が専門書を数冊読めば大体のことはわかってしまう程度のもので、高度な技術やエンジニアリングは要求されません。実際に工事が始まると、住民対応能力が求められます。大規模修繕工事は、多くの居住者が日常生活を送りながら進めることになるからです。