ある時、沢庵のもとに一人の武士が訪れ、こんな相談を持ち掛けてきました。「私は剣術が不得手で、教養もありません。だから、他人に対して自分が劣っているといつも感じています。この思いを断ち切るためにはどうすればいいでしょう。」すると沢庵は次のように返答しました。「体にアザもほくろもない人を探しだしなさい。その人のおへそのゴマを煎じて飲めば、その思いは断ち切れます」武士が「そんな人がこの世の中に居るはずがありません」と答えると、沢庵は次のように教えさとしたのです。「じゃあ、言わせてもらいますが、他人に対して自分が劣っていると感じてない人が、この世の中にいるとお思いですか」人間の体には大なり、小なり、アザやホクロがある。同様に、誰でも劣等感がある、と沢庵はその武士に言いたかったのです。