日本のエレベータ業界は、シェアの8割近くをメーカー大手、三菱、東芝、日立という3社で占めています。昔、NHKのテレビ番組で大人気になった「だんご3兄弟」という歌がありましたが、それをもじって「談合3兄弟」という替え歌が作られているほど、業界はこの3社の寡占状態です。この3兄弟に、準王手のオーチスとフジテックを加えて、「5兄弟」と呼ぶ場合もありますが、日本のエレベータ市場は、この5社が実に9割以上を占めていることになるのです。つまり、ほとんどのマンションにはこの5社のいずれかのエレベータが設置されていることになるわけですが、この兄弟たちには「他社のエレベータは保守しない」という暗黙の了解があって、マンション管理業界と同様に、ここでも競争原理が働いていません。またこの兄弟たちが提示する保守費用は、なぜかどの会社でも同じように高い金額になっています。競争原理が働いていないので、保守費用も彼らに都合の良い価格設定になっているわけです。これに対し、いわゆる「独立系」のエレベータ保守会社(SEC、ジャパンエレベータ)などは同じ仕様でも、保守費用はメーカー系の6掛け程度の金額です。またいわゆる「安かろう悪かろう」という問題もほとんど起きていません。特に築30年超のエレベータのリニューアル(更新)時にはメーカー系とこれら独立系では1基あたりでも700~800万円もの差があり、更新時に独立系に切り替える管理組合さんも多く見られます。