長期修繕計画とは、新築時のマンションの姿と形を守りながら時代に合わせた設備に更新・改善していくためのものです。管理会社に管理業務を委託している管理組合には、通常総会時に資料として管理会社作成の長期修繕計画(案)が添付されるのですが、その内容は非常に細かく、工事項目毎に予算の額も書かれています。しかし、これには2つの大きな問題があります。まずこの長期修繕計画は近い将来赤字になるということ、月々の修繕積立金の額が低く、そのうえ不必要な工事までセットされているため工事費が高額になってしまっているのです。その結果、2回目の大規模修繕工事を行う24年目には修繕積立金が赤字になり、3~5年おきに修繕積立金を値上げするか、一時金を徴収して赤字を回避しなければならなくなるからです。もう一つの問題は、工事項目毎の材料の数量がわからないという点です。その理由は、売主が管理組合に引き渡す書類の中に、工事項目毎の材料名とその数量が記載されていないからです。そこで管理組合は、12年目ごろの第一回大規模修繕工事において、材料の数量を確定させ、新しい長期修繕計画(案)を作って問題解決に取り組むのです。修繕積立金を必要な額まで値上げして、30年以上の資産価値を維持・向上できる長期修繕計画を持つのです。