消費税増税と合わせて、需要と供給のバランスによる工事本体価格の変動があります。そして、むしろ「工事本体価格の変動」の方が、増税よりも大きいことが少なくありません。最近では東日本大震災後ももの不足で建築資材が値上がりしたように、需要が増えれば増えるほど、資材から値上がりしてしまいます。だから、消費税増税前の駆け込み需要に合わせての大規模修繕工事の発注が、必ずしもコストメリットがあるとは言えないのです。大規模修繕工事のサイクルを考えれば、増税などに左右されずにじっくり構えて、建物の本質的な劣化度合や汚れ具合を客観的に考えることが大切です。「ケタの大きな金額が必要となる大規模修繕工事であればなおさら、増税に惑わされて早くやろうという発想は大間違い」なのです。冷静に考えれば誰でもわかることですが、増税まじかになると、あらゆる本やネットなどで「増税前に工事を発注すべき」といった情報が流れます。そうした世間の声が大きければ大きいほど、正しい一般論のように思えてしまいますが、それこそが大きな落とし穴です。