管理会社や工事業者が大規模修繕工事を促す際、よく使われるのが「マンション資産価値が上がります」という殺し文句です。しかし本当でしょうか。そもそも資産価値とは、何でしょうか?わかりやすく言えばマンションの中古の売買価格だと思います。会社経営のバランスシートに置き換えてみると、大規模修繕工事手前では、建物の劣化が進み、建物の価値は落ちていますが、修繕積立金残高は豊富です。一方では大規模修繕工事が終了すると、建物の価値は上がりますが、現預金の修繕積立金残高は大きく、減少しています。このバランスシーの全体の面積は、大規模修繕工事前でも工事後でも変わるものではありませんから、資産価値そのものは何も変わっていないといえるのです。現実的にも、大規模修繕工事終了後にマンションの売買価格が一気に値上がりしたという話は聞いたことがありません。