ほとんどのマンションの建物診断調査の結果は、「近いうちに大規模修繕工事をしましょう」というものです。こうし結果が出る理由は、明快です。工事を早く受注したい施工会社が、大規模修繕工事の必要性と緊急性をアピールするのは当たり前のことだからです。実は、設計事務所も例外ではありません。ちょっとしたひび割れや、壊れている箇所の写真をたくさん貼り付けて、管理組合の不安をあおり、大規模修繕工事の推進を助長する傾向にあります。けれど設計事務所の人たちも内心では、「長期修繕計画表を見ると3回目の大規模修繕工事までに破綻するのに、このタイミングで大規模修繕工事なんて無謀だ。自分の家だったらまずやらないな」なんて思っていたりするもの。それでも自社の利益を最優先に考え、当時の理事会や修繕委員がやる気になっているのをいいことに、「早い工事が望まれます」といった教科書通りのセリフを言ってきます。ですから管理組合サイドとしては「大規模修繕工事が本当に必要なのか」を自分たちの目でしっかり見ていくことが不可欠なのです。