Q 最近、マンションの一室に、暴力団らしき人が頻繁に出入りするようになりました。出て行ってもらうことはできないでしょうか?
A 共同の利益に反する行為にあたるとして、区分所有法57条~60条の対応措置をとることが考えられますが、手続きを進めるにあたっては、区分所有者の強い意志と結束が要求されます。
●区分所有法による手続き
マンションの一室に、暴力団らしき人が頻繁に出入りするようになり、区分所有者又は賃借人が暴力団員であることが分かったとしても、それだけでは区分所有法による対抗措置をとることは難しいかも
しれません。
しかしながら、マンション内で著しく粗野もしくは乱暴な言動をしたり、威勢をしめすなどをして住民に不安を覚えさせるような行為をする、生活のルールを守らない等具体的に他の住民に対して迷惑行為
があれば、共同の利益に反する行為に該当し、区分所有法による対抗措置をとることができます。
もっとも暴力団対策法によって、指定暴力団の事務所の外周や外から見通すことができるところに、組の看板や代紋等を掲示することや、著しく粗野もしくは乱暴な言動をしたり、威勢をしめすなどして
住民に不安を覚えさせるような行為をすることを禁じられているため、最近は暴力団が暴力団であることを意識的にわかりにくくしていることが多いので、慎重に検討することが必要です。
●強い意志と結束
区分所有法57条~60条の対抗措置をとるにあたっては、区分所有者の総会による決議が必要となります。その際、区分所有者が暴力団を相手に闘う強い意志と結束が無ければなりません。管理組合として
、各区分所有者に対し説得し、協力を求める努力をする必要があります。
区分所有者には、嫌がらせを受けるのではないかと不安に思い、気持ちがくじける人が出てくるかもしれません。管理組合としては、こうした区分所有者の不安を除去してあげることが必要でしょう。
専門家のアドバイスを受けながら、各区分所有者に対して、正しい知識と何かがあった時の対処方法を取得する機会を設けることが重要です。