Q 修繕業務の委託を検討していたところ、役員の一人が「私が代表を務める修理会社に任せてほしい」と申し出てきたのですが、委託して良いのでしょうか?
A 標準管理規約には、①役員が自己又は第三者のために管理組合と取引しようとする場合、②管理組合が役員以外の者との間で、管理組合と役員の利益が相反をするような取引をする場合には、理事会において当該取引に関する重要な事実を示したうえで、承認を受けなければならないと定められています。
利益が相反するような取引とは、管理組合にとって不利益であるにも関わらず、役員にとって経済的そのほかのメリットがあるために、行われれる取引を指します。
役員は、本来はマンションの資産価値を維持又は向上させなければならない立場にある為、管理組合の利益を犠牲にして、自分自身又は第三者の利益を図ることがあってはなりません。
例えば、理事長がひいきにしている企業等に、修繕工事等を依頼するために、多額のリベートを受けとっている場合には、管理組合に損失を与えます。
しかし、他の会社よりも、低価格で工事を発注できるなど、管理組合の利益にもなる場合もありますので、利益が相反する取引は一律に禁止されているわけではありません。
そこで、役員が利益が相反する取引を行おうとする場合には、理事会の承認が必要なものと定めておくことで、利益が相反する取引により管理組合が損失を受けることを防ごうとする仕組みを整えておくことが求められています。