大規模修繕工事を実施する前に必ず行うべきことがあります。それは既存材料の劣化調査とその診断です。劣化調査とその診断の目的は、劣化した材料の修繕工事の適切な方法を第三者に検討させることです。管理会社に劣化調査と診断を任せては、彼らが提案する工法を追認することになってしまいますので、必ず第三者に検討させて、管理組合が事前に調査と診断の内容を把握してください。その劣化調査に関する業務や、大規模修繕工事に関する業務を管理組合に、諮問する機関として、工事実施の2年程前に、区分所有者から専門家を募り、組合役員も委員となる大規模修繕委員会を設立します。委員会では専門的知識が必要になる為、業務を委託するコンサルタントとして、1級建築士を選定してください。1級建築士が所属する設計事務所の選定ですが、まず数社の設計事務所に既存材料の劣化診断と改修工法を提案させて、委員会が比較表を作成します。その結果を管理組合に諮問し、理事会で決定した設計事務所と管理組合が契約します。単純な委託費の比較ではなく、材料の劣化とその修繕方法などの修繕工事を見る能力を一番の選定基準にしてください。