Q 理事会役員が管理費の運用に失敗して大きな損出が出た場合、理事会構成員に補償を求めることは可能でしょうか?
A 管理者である理事長は区分所有法28条で受任者としての義務を負います。それ以外の理事についても、民法によって受任者としての義務を負います。
受任者は民法644条に基づき、委任の本旨に従って、誠実に委任事務を行う義務(善管注意義務)を負います。
今回のケースで考えると、通常、理事に管理を委任した住民からすれば、管理費をしっかりと管理し、安定させることが「委任の本旨」であるといえます。
例えば、株式投資を理事が行った場合、その理事はもちろん、それに賛成した理事長をはじめとする他の理事会構成員も、受任者としての義務に反しており、損害賠償責任を負います。
そこで、理事会構成員に管理費を穴埋めさせることは可能です。
次に理事への責任追及の方法を説明します。理事会構成員が自主的に損害額を支払えば問題ありません。しかし、もし理事会構成員が払わない場合は、裁判を起こすことになります。
ただし、マンション住民個人が理事会に穴埋めを請求することは、判例では認められておらず、「管理組合」として請求しなければいけない為、総会で裁判を起こすことに対する決議を得てから
裁判を起こすことにしましょう。