エレベータのメンテナンスには、「フルメンテナンス契約」と「POG契約」があります。フルメンテナンス契約というのは、本体の交換やリニューアル費用以外に掛かるすべてのコストが含まれる契約のことで、新築時には基本的にフルメンテナンス契約で交わされています。この契約形態の場合はすべてのメンテナンスを包括して委託するので、手間はかかりませんが、供給側の都合のいいように割高な費用設定になっています。1基あたりの月額の相場は5~7万円だといわれています。一方POG契約とは、「パーツ、オイル、グリース」の頭文字をとったもので、消耗品部品契約のことです。定期点検や、管理委託仕様書に記載された範囲内での消耗品の交換は含まれますが、それ以外の部品の交換や修理については、別途料金が発生する契約内容です。1基あたりの月額の相場は3~5万円くらいだといわれます。「POG契約なら必要に応じた部品の交換だけになるのだから、フルメンテナンス契約からこちらに切り替えた方がコストを下げられるんじゃないか?」と思う人もいるでしょう。けれども、実際は両者の契約で大した差はありません。何しろ競争原理が働かない寡占市場なのですから、POG契約にしたところで、値段の設定は彼らの都合のいい価格になっています。酷い場合は、フルメンテナンス契約ならばエレベータのロープやベアリング交換をしないケースでも、POG契約だと熱心にそれらのパーツの交換をすすめてきたりして、結局その分コストがかかることになります。