沢庵にまつわるエピソードを紹介しましょう。ある時沢庵のもとに一人の武士が訪れ、仲良く会話をしていました。すると、そこに沢庵の弟子がやってきて、こう告げました。「和尚様、のんびり客人と会話をしている暇などありません、鷹狩りの帰りに、上様がここに立ち寄られました」上様とは、三代将軍・徳川家光のことです。しかし、沢庵は慌てる様子もなく、弟子にこう伝えたのです。「私はこの客人と前々から今日、お会いする約束をしていた。しかし、上様は約束もなく参られたのだから、しばらくの間、別室で待っていただきなさい。」本来なら、一介の武士よりも最高権力者を最優先にするでしょう。しかし、沢庵はそうしませんでした。それは沢庵に「一期一会」の精神があったからです。別の言い方をすると、今、目の前にしている人を大切にしようとする気持ちがあったのです。良好な人間関係を築きたければ、沢庵のように、まずは目の前の人を大切にすることです。人と会っているときは、その人のことだけを考え、他のことは一切考えないようにすることです。そうすれば、以心伝心で、その気持ちが相手にも伝わり、相手もまたこちらのことを大切に思ってくれるようになります。