設計事務所と工事会社の談合は、実に巧妙な手段で行われているので、その尻尾をつかむことは、容易ではありません。また、たとえ談合の存在を見抜いたとしても、「その通りです、うちとあの会社で談合をしていました」などと認めることも無いでしょう。けれども、証拠をつかむまでに至らなくても、「これは談合しているのではないか?」という判断がある程度はできるものです。まずは出された工事業者の見積もり金額が不自然に一律に近ければ、確実に談合をしていると思っていいでしょう。見積もり金額のばらつきが、最安値を100とした場合、最高値が110~120くらいまでに留まっているようならば、それは談合の可能性大です。経験上見積もり金額にある程度ばらつきが出るのは当然です。100の最安値に対し、150~200の最高値があっても全くおかしくないのです。「なぜ同じ工事範囲で同じ仕様なのに、見積もり金額に倍近い差が出るのか?」と思われるかもしれません。これは見積もりを出す工事業者の立場や状況によるところが大きいといえます。その時にちょうど仕事があまりなく、社員を遊ばせているよりは、利益があまりなくても、受注に走らなければならない業者の場合、通常よりは何割か価格を下げてくるというのもよくあることですし、受注額が豊富にあるときは、何倍も高く提出するのはよくあることです。