江戸時代の初期にAとBという二人の対照的なお殿様がいました。Aというお殿様は傲慢で、周囲に威張り散らすところがありました。これに対しBというお殿様は腰が低く、誰に対しても謙虚でした。その2人が、三代将軍・徳川家光に挨拶するために、江戸城内に出向いたことがありました。そして廊下を歩いていると、一人の幼児がはしゃいでいる光景が目に入ってきました。この時Aは「こら!城中で騒ぐ出ない」と大声でしかりつけました。一方Bは「ケガをなさいますよ」と丁寧に注意を施しました。それから間もなく、Aは家光から呼びだされ、隠居するように命じられました。実はAが叱った幼児は家光の三男で、のちの5代将軍綱吉だったのです。一介の大名が将軍の子供をしかりつけるなど持ってのほかということで、処罰を受けたのです。この話を通して言いたいのは、人間、傲慢にふるまっていると、大きな墓穴を掘る可能性があるということです。